松戸生まれ 松戸育ち 松戸市議会議員

令和5年12月定例会

質問事項2 都市農業の推進について
質問要旨(1)松戸市総合計画「付加価値の高い都市農業の推進」に掲げられている重要業績評価指標(KPI)について
質問要旨(2)生産緑地と農地の保全、さらなる活用に向けた取り組みについて

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質問事項2 都市農業の推進について

先日11月19日、練馬区の光が丘公園で「全国都市農業フェスティバル」が開催されました。
都市農業を振興する本市も招かれ、松戸市の矢切ねぎやアジサイねぎ等を詰め合わせた野菜セット、60セットはあっという間に完売、
11月23日に本市の21世紀の森と広場で開催された「まつど大農業まつり」でも、たくさんの来場者の方が松戸で生産された農作物を買い求められていました。

川を渡ればすぐ東京都という立地ながら、未だ広大な農地を保有する本市の農業は、大きな可能性を秘めた一大産業だと思っています。50年後、100年後も松戸で農業が根付き続けるよう、都市農業を市民全体で理解・振興していくため、質問させていただきます。

質問の要旨(1)松戸市総合計画「付加価値の高い都市農業の推進」に掲げられている重要業績評価指標(KPI)について

令和4年度から11年度にかけて8年間で取り組む本市の政策・施策を取りまとめた松戸市総合計画の中で、
松戸市の都市農業推進におけるKPI 重要業績評価指標 以下、KPIと言います。として、
一つ目、松戸ブランド農作物を取り扱う市内販売店数、二つ目、オーナー農園の利用区画数、三つ目、体験型オーナー農園の利用区画数の増加が挙げられています。

そこで、それぞれの現状を踏まえ、質問させていただきます。

一つ目の松戸ブランド農作物を取り扱う市内販売店数は、令和元年度の17店舗から、令和11年度は30店舗へ、とKPIが設定されています。令和5年度は23店舗ということでした。店舗数が増加した理由を教えて下さい。

二つ目のオーナー農園利用区画数、オーナー農園は、農家の方が育てた枝豆、小松菜、ほうれん草の収穫をすることができる事業です。
令和2年時点での896区画を、令和11年は900区画へとKPIが設定されています。
令和5年度は642区画とのことですが、策定時に載せられた令和2年度の896区画から28%減となっている理由をお聞かせください。

三つ目の体験型オーナー農園利用区画数、体験型オーナー農園は、ほうれん草などの野菜の生育について、種まきから収穫まで、農家の指導を受けながら農作業体験ができる事業です。
令和2年での48区画を、令和11年は50区画へとKPIが設定されています。
令和5年度は28区画と、目標の約半分の区画数となっております。
区画数が減少した理由と、今後の取り組みについてお聞かせください。


質問の要旨(2)生産緑地と農地の保全、さらなる活用に向けた取り組みについて
市内各地で農作物が生産される一方、全国的に農地が減少しています。

令和4年度の市街化区域内における生産緑地は、令和4年度から令和5年度にかけて、506地区118.59haのうち40地区が廃止され、466地区109.31haに。生産緑地全体の8%の面積が市街化区域から姿を消しました。
また、市街化調整区域の農地も、令和4年度、2万1千461平米、約2ヘクタールの田畑が資材置き場や駐車場へ転用されています。

農地を手放す主な理由として、
耕作したい人が周りにいない・子どもが継ぐ気がない 兄弟も近くにいない
怪我や病気をした、営農していた両親がなくなった など
その多くが耕作できる人がいないというものです。

その一方で、松戸市に住んでいる農業に従事している方の中には
新規で営農したいと思ったが、松戸で土地を借りるところまで辿りつかなかった と、結果的に近郊の白井市や柏市、佐倉市の土地で営農してる方もいます。

松戸市は、東京都に隣接しながらも、広大な農地がまだ残されており、まさに都市農業の代表ともいえる自治体であります。
現状に対し、本市として、どのように取り組んでいこうと思っているのか、考えをお示しください。

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質問事項2「都市農業の推進について」の質問要旨(1)、(2)について、ご答弁申し上げます。

はじめに質問要旨(1)の3つの指標値についてですが、1つ目の松戸ブランド農産物を取り扱う市内販売店舗数につきましては、新鮮で安心安全な農産物を提供したいといった理由で、新規に開店したスーパー等で松戸ブランド農産物を取り扱っていただいていることや、消費者の地産地消の意識が根付いてきていることが店舗数の増加につながっていると考えております。

2つ目の、農業者が育てた作物の収穫体験をしてもらう、オーナー農園につきましては、農業者の高齢化による体力面の影響や、不作等の理由で提供できなかった場合に、オーナー様に迷惑をかけてしまうといったことから、減少したものと考えております。
また、何度かオーナー農園を体験して、リピーターやファンがついている農園では、多くの利用者から直接申し込みが来るようになり、市のオーナー制度を介さずに運営できる農園も出てきたため減少したものです。

3つ目の、種まきから間引き、収穫までを農業者の指導を受けながら体験する体験型オーナー農園につきましては、現在は1農園でのみ開催しておりますが、農園の事情により区画数に変動があるため減少したものです。体験型オーナー農園は貴重な農業体験の場として、ご好評をいただいておりますので、市内の多くのエリアで農業体験ができるように、ご協力いただける農業者の増加に向けて、積極的な声掛けを行ってまいります。

次に質問要旨(2)農地保全に向けた取り組みについてですが、現在、松戸市では種苗から廃棄物処理費、農地の貸し借り等、様々な支援を実施し農地保全及び農業経営の安定化に努めております。

議員ご案内のように、新規就農に関する問い合わせもございますが、まとまった農地がない等の理由から、就農には至らないのが現状となっております。
新規就農者が就農することは重要と考えておりますことから、農地保全の取り組みの一つとして、現在の農業従事者に対する営農支援を継続していくとともに、新規就農を希望する方が就農しやすいような環境を整えていけるよう検討してまいります。

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都市農業の振興について ご答弁ありがとうございました。
農業は、食料、繊維、その他の製品を生産するために土地を耕し、植物を栽培し、動物を飼育するプロセスであり、また、単に食料を生産するだけでなく、その土地の文化、伝統、社会構造にも大きな影響を与える重要な領域です。

松戸は市街化調整区域で、農地も、生産緑地もあり とても恵まれた市、
松戸市の大きな財産を余すところなく使えるように、こちらも意見を述べさせていただきます。

松戸市の都市農業推進におけるKPI、
ひとつ目松戸ブランド農作物を取り扱う店舗が増えたことについて
JAの方にお聞きしたところ、チェーン店の大型スーパーが新しく出来たときは、他店舗で地場野菜をおいている同じ農家さんにおいていただくという話を聞きました。
松戸ブランド農作物を扱う店舗数が増えていくことは、それだけ市民の方が松戸の農業を身近に感じられることにもつながり、関心を持っていただける機会が増えます。新規のやる気のある農家さんも、新たな販路を増やせるよう、スーパーや農協さんと連携を取り合い新しいかたの参入の機会を広げていただくようよろしくお願いいたします。

二つ目のオーナー農園の減少の理由について
何度かオーナー農園を体験した方が、その農園のリピーターやファンとなり、市を介さず直接申し込みをするようになったことで、結果的に市のオーナー農園の申込み件数が減少した というのは、減少した理由として喜ばしいものでもあります。

もう一つの オーナー様に迷惑をかけてしまう懸念、農業者の高齢化による体力面の影響についてですが、オーナー農園は、イベントとして大人数で一斉に集まって行う収穫体験と異なり、好きな時に畑へ行き、収穫できるという利点があります。
これを含め、じゃがいもやサツマイモなど比較的生育しやすい、収量の多い野菜を入れながら、農家さんの負担を減らしつつも、市民の方に収穫を楽しんでいただくなど、方法を検討していただければと思います。

さらに、3つ目の体験型オーナー農園については、是非積極的に広げていただきたいと思います。
親子が体験型オーナー農園を利用できれば、子供たちは自然への理解と敬意を深めたり、一粒の種から食べ物がどのように育てられ、収穫されるかを学んだりすることができます。
また、体験型オーナー農園を通じて、大人たちがコミュニティを形成できる場となったり地域の繋がりが深くなる効果もあります。

農家さんは、強い信念をもって営農されている方もおおく、一見とっつきにくいイメージを持たれがちですが、実際にお付き合いすると、自然相手に愛情をこめながらお野菜を育てているので、優しい方ばかりです。
契約する農家さんを増やしていただき、地域の方がその農地を利用して、農への関心を深めたり、市民の新しいコミュニティの場所になったりすることを期待します。


次に、農地の保全について
現在の農業従事者に対する営農支援を継続していくとともに、新規就農を希望する方が就農しやすいような環境を整えていけるよう検討してまいりますというご答弁を戴きました。

「農は国の基もとい」という言葉があります。
この意味は、文字どおり、農業は、国の物事の基礎・土台であることをさします。

私たちは、どんなにお金をもっていても、食べるものが無ければ生きていくことができません。
だからこそ、どの国も一次産業を大切に、自らの土地で食べ物を調達出来るように政策が組まれておりました。
日本の食糧自給率が取り上げられることが多くなっていますが、幸運なことに、松戸には広大な農地が今も残されています。

市で抱える介護や不登校、健康の問題の一部が、食べ物に起因するものであるならば
農業に少し力をいれるだけで、状況が一変し、解決出来る可能性があります。

今年7月、同じ首都圏で、都市農業を振興する練馬区へ視察に行きました。
練馬区は、前川区長の肝いりとして農業の保全に力を入れており、都市農業課の方も精力的に公務に当たっていました。

練馬区は、区全体が市街化区域となっていて、都市農業課が生産緑地の貸したい人の条件と借りたい人の条件をそれぞれリスト化し、間に入りマッチングしています。
区職員とJAがボトルネックになる問題を一緒に考え、借りたい人と貸したい人どちらの相談が入っても協定を持てるようにし、令和5年度は、30年の契約更新したが、95%の生産緑地を残したそうです。

少し、大変な作業にはなるかもしれませんが、本市の生産緑地466地区も、調整区域の農地と同様にリスト化し、かりたい方と貸したい方がマッチングしやすい環境を整えていただけませんでしょうか。10年後の本市の生産緑地の管理や保全に、この作業は必ず繋がると思います。

また、リスト化する際のやり取りを含め、地権者の方に本市が都市農業を大切にしていることが伝われば、生産緑地の解除を迷った際、松戸市へ相談していただいたり、有効に納得できる使い方の話し合いが、現状より多く出来るようになると思います。

調整区域内の農地銀行も、貸す方と借りたい方が予め合わせた状態で来ることが多いとお聞きしました。
いわば、カップルになった後で、借りに来られる状況ですが、是非こちらも、市が間に入り、知らない方同士でも成約率が高くなる話し合いができるよう、積極的なマッチングを考えてみてはいただけませんか。

さらに、農業委員会の行う農地パトロールは、毎年11月12月に担当地区を見て回り、草が伸び切っていたり、2-3年営農していないところを遊休農地としてカウントし、持ち主に意向調査をすると伺いました。
年に1回、電話でも、一言だけでもいいので、営農できなくなった時に農地を貸すことを検討いただけるよう、事前の声掛けや意思疎通をとっていただきたいと思います。

ここまでお願いをするのは、松戸の農地には未来への夢と希望がたくさん詰まっているからです。
松戸の農業が花開く一つの理由に、学校給食や介護施設など、公共機関などの安定した出口があることがあげられます。
人口数万人で田畑が広大に広がる地方と異なり、松戸は人口50万人、安全でおいしい食べ物ならいくらでも需要があります。

例えば、農家さんの生産を促すよう、一定の金額で農作物を買い取る制度を作り、
余剰米などは防災用に貯蔵、古米や古々米は活用できる団体などに循環させるといったことが出来れば
本市は、日本で一番の都市農業振興自治体に本気でなれると思っています。

松戸には、農薬や化学肥料を極力使わず、お米や野菜が本来持っている力を生かして農業を行うプロの方がおおく居ます。
農家の方は出口がある安心感をもって農業に打ち込み、
収獲された安全なお米や野菜が、松戸の施設や家庭の食卓にあがり、
私たちはお金に変えられない健康を得られれば、三方よし、こんなにいいことはありません。

松戸の農業がより栄え、地産地消が促進されるよう、
生産緑地のリスト化、農地の積極的なマッチング、遊休農地になる前の対策をぜひよろしくお願いいたします。