松戸生まれ 松戸育ち 松戸市議会議員

令和6年12月定例会

質問事項3児童生徒への1人1台端末について
(1)端末の扱い、身体への影響について
(2)メディアリテラシーを含む道徳的な価値観や規範等のモラルについて

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質問事項3児童生徒への1人1台端末について

質問の要旨(1)端末の扱い、身体への影響について

今日の小学生や中学生、児童生徒は、自分のスマートフォンや保護者のスマートフォン、通信機能の付いたゲーム機など、日常的にデジタルデバイスと接する生活を送っています。

2019年より国が打ち出したGIGAスクール構想によって、令和3年度からは児童生徒への一人一台端末が導入され、家庭だけでなく学校内でもデジタルデバイスに触れる機会が多くなりました。

一方、スウェーデンでは、2006年に「IT先進国として教育におけるデジタル化を積極的に導入し、子どもたちの学びをより効率的に、そして時代に即した形で進めることを目指す目的で、教育分野で「一人一台」の学習用端末の配備を開始し、教科書を含めた教育資材のデジタル化を本格的に進めました。

しかし、大規模なデジタル化の結果として、子どもたちの集中力の欠如、深い思考ができない、長文の読み書きが苦手になるといった弊害が確認されました。

スウェーデンは現在、デジタル化を見直し、紙の教科書や従来の教育方法に回帰する「脱デジタル化」の方向に舵を切り直しています。

松戸市でも、一部の保護者の方から、紙の辞書を引く時間がタッチパネルでの検索の時間に置き換わったり、紙などのアナログの学習がデジタルツールに置き換わってしまうのではないか、という声が聞かれます。

タブレットを効果的に活用しつつ、紙などの学習のメリットも適切に組み合わせるようなハイブリッドな使い方が重要かと考えられますが、実際の授業で、アナログとデジタルの併用はされているのでしょうか。

併用されているのであれば、どのように併用されているのか、具体例があれば教えてください。

また、状況によっては、動画視聴などインターネットを活用した使用も可能と聞いております。
このような状況で懸念されるのが、生活が大きく左右されるほどのデジタル機器への執着など脳の発達や身体面への影響です。

ICT機器のルールなどは嶋村議員の質問に対し
市教育委員会で松戸市GIGAスクールタブレットPC活用ルールを作成し、使用時間や使用目的、健康被害についてを学校や児童生徒・保護者にタブレット端末が配備された令和3年に周知されたとご答弁されていました。

令和4年度以降は、学校ごとに周知が行われていると伺いましたが、実際に現場の先生方がどのように松戸市GIGAスクールタブレットPC活用ルールを活用し、児童生徒に対して適切な指導を行っているのか、特に依存を防ぐための使い方や、デジタル機器が体に与える影響について実際の現場では児童生徒へどのように指導されているのか教えてください。

(2)メディアリテラシーを含む道徳的な価値観や規範等のモラルについて

メディアリテラシーとは、テレビや新聞、インターネット、ソーシャルメディアなどのさまざまなメディアを通じて得られる情報を正しく理解し、活用する能力のことを指します。単に情報を受け取るだけでなく、その情報の信頼性や出所を批判的に評価し、適切に判断する力とも言えます。

一人一台端末でWi-Fi環境が身近になったことにより、児童生徒のインターネットを利用できる時間がふえました。
インターネット上には玉石こんこうの情報があふれており、偏った情報を鵜呑みにすることで、誤った判断をし、時には他人を傷つけたり、重大な結果を招いたりしてしまうこともあります。

このようなリスクを考えると、端末の有効活用と並行して、メディアリテラシーを含む道徳的な価値観や規範がますます重要になると考えます。

ネット上の情報を正しく理解し、活用する力を養うことは、子どもたちがこれからの社会を生き抜く上で必要不可欠です。
このようなモラル面の課題に対し、教育委員会としてどのようにお考えでしょうか。

以上となります。
執行部の皆様、ご答弁よろしくお願いいたします。

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令和3年度よりGIGAスクール構想による、1人1台タブレット端末が配備されておりますが、これにより市立小中学校の教室での学習が、全てデジタル機器にとってかわったという訳ではございません。

議員ご質問の通り、アナログとデジタルは二項対立で語るものではなく、市教育委員会としては、学習内容や目的に合わせて児童生徒自身がどの方法で学習するのかを選択できる力の育成やそれを可能にする環境を整えることが肝要であるととらえております。

実際の授業の中では、自分の考えをまとめる際に、デジタルのワークシートを活用する児童生徒もいれば、ノートに手書きでまとめる児童生徒もおります。デジタルは情報の共有に優れておりますので、自分で書いたノートを写真に撮り、クラウド上で学級全体に共有する等、アナログとデジタルを効果的に組み合わせて学習に取り組んでおります。

また、本市ではGIGAスクール構想の実施に合わせて、「松戸市情報活用能力体系表」を作成しております。この中で、長時間使用による視力への影響やデジタル機器への依存等の身体への影響、IDやパスワードの重要性や著作権、SNSトラブル等に関するメディアリテラシーを含む情報モラルについても、適時性を考慮して設定しており、学校現場ではこれを活用し、児童生徒の発達段階等、実態に合わせて指導をしております。

今後も、タブレット端末が児童生徒の健康面等に与える影響について考慮し、アナログとデジタル両面の効果と留意点を見極めながら活用を推進してまいります。

以上、答弁とさせていただきます。

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(1)(2)のご答弁を受け、わたくしの意見を述べさせていただきます。

タブレットを効果的に活用しつつ、紙での学習のメリットも適切に組み合わせるハイブリッドな方法が重要というわたくしの意見に対し、アナログとデジタルは二項対立で語るものではなく、学習内容や目的に合わせて児童生徒自身がどの方法で学習するのかを選択できる力の育成やそれを可能にする環境を整えることが肝要というご答弁でした。
あくまで一つの道具としてタブレット利用するという方法が、教育委員会と共通であることが確認できました。

デジタル機器による体への影響を児童生徒に理解してもらうような働きかけについても、松戸市GIGAスクールタブレットPC活用ルールの他に、「松戸市情報活用能力体系表」を教育委員会で作成、学校現場で活用し、児童生徒の発達段階等、実態に合わせて指導をしていることも了解しました。

また、身体面の配慮について先のご答弁で、スマートフォンと子どもたちの脳との関係等について教員の方たちが研修を受けたと聞いたとき、この先の健康被害については、家庭用スマートフォンなのか学校のタブレットなのか、他のデジタル機器なのか少なくとも学校のタブレットを抜かした原因だとは、線引きをすることができなくなると思いました。

総合的にみて、わたくしは、繊細で発達が著しい児童生徒、特に低学年の児童に一人一台のタブレットを渡すことに疑問を持っています。
しかし、国の政策として一人一台端末が施行されている以上
家庭のスマホと、学校現場のデジタル端末を、別物として考えず、インターネットにつながるデバイス機器全体の情報モラルとして教育に取り入れていただきたいと思います。

ご答弁のなかでは、松戸市情報活用能力体系表で体への影響だけでなく、IDやパスワードの重要性、著作権、SNSトラブル等に関するメディアリテラシーを含む情報モラルについても適時性を考慮して設定していることがわかりました。

端末自体の扱いについては小学校1年生から適時指導されているということですが、主体性や責任感を促す積極的な指導を行うのは小学校3年生ごろからと伺いました。

これから先、スマホを使い始める年齢が、さらに低年齢化すると思われますし、今の国の動きをみると、保育園から一人一台端末を導入するといいだしかねません。

わたくしからの要望として、子どもが、自分自身のデジタル行動に責任を持つという意識を育てる教育を、なるべく早い段階、できれば小学校1学年から積極的に導入していただきたいと思います。

令和6年度の教育施策方針の中で、当時の伊藤教育長は「令和5年度は、転換しようとする意識の啓発に努めてきた、令和6年度は、実際に転換を進めなければならない。教育委員会でも、私たち一人一人が主体的に、意識的に転換を図る必要がある」とお話しされ、5つのキーワードを述べられました。

その中の2つめのキーワードに「歩きながら、走りながら、失敗を恐れずに様々な方法を試し続ける中で、クオリティを高め、施策を前に進めて行くというトライ&エラーの姿勢で臨むこと」を述べられ、「教育におけるICT 化の実践は、まさに、この姿勢で取り組むべきであり、これからは、学校教育においても、事務や生涯学習の場においても、教育DX のスピードアップを図ってまいります。」とお話しされています。

デジタルの波が子どもたちを予想以上の速さで飲み込んでいる今、子どもたちを取り巻く環境に合わせた情報モラル教育はまさに教育DX (デジタルトランスフォーメーション)で重点的にスピードアップするべき項目だと考えます。

あくまで一例でありますが、
デジタルの世界は大きな海のような場所で、そこに小さな船で浮かんでいる状態であること
浮いているだけではどこまでも流れてしまうため、目的をもって何をしたいのか決めることが重要であること
などをタブレットを配布する年齢からの共通認識とし、端末をどのように扱えばいいかを話し合ってもらうなど

子どもたちが自発的に自分の行動に責任を持とうと思えるような指導を3年生より前のなるべく早い低学年の段階から導入していただけるようよろしくお願いいたします。

最後に議員となって、任期となる4年の折り返しを過ぎました。
会派や政党を超え、議員の皆様からの日々のアドバイスやご指導に心から感謝します。

また、執行部のみなさまに置きましては、国、県、市民、私たち議員と四方八方からの色々な意見を受け止めながら、何が最良なのかを考え、執務を行ってくださっていることにも、重ねて感謝します。

これかrも、しっかりと市民のみなさまの負託を受けた議員として、精一杯活動させていただきます。

以上を持ちまして、12月定例会わたくしの一般質問を終了させていただきます。
ご清聴ありがとうございました。