松戸生まれ 松戸育ち 松戸市議会議員

令和7年3月定例会

質問の要旨(1)子どもへの愛着(アタッチメント)について

「アタッチメント」は、様々な解釈がありますが、心理学者のボウルビィが定義した「子どもと特定の母性的人物に形成される強い情緒的な結び付き」を前提として、質問します。

施政方針では 子どもたちが健やかに成長できる環境を整えることが「未来への投資」であるとし、妊娠・出産から子育てまで切れ目のない支援を充実させ、教育施策の強化にも取り組むこと、共働き世帯の増加や核家族化が進む中、これまで家庭で担われてきた子育てや教育を社会全体で支えていく必要性が高まっていること、が示されました。

現在、文部科学省の家庭教育に関する法律には、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」と定められており、 松戸市の「家庭で担われてきた子育てや教育を社会全体で支えていく」という考えと並行して、こちらの条文から特定の養育者との関わりが必然的に子どもの心の安定や社会性の発達に欠かせないこともわかります。

そこで、松戸市の現状を踏まえながら、子育てを社会全体で支えることと、特定の養育者が子どもと深い愛着を築くこと、それぞれの重要性について、どのように捉え、施策に反映しているのかお聞かせください。

答弁:子ども部長

子どもとの情緒的なつながりや愛着、いわゆるアタッチメントについてのご質問でございますが、議員ご指摘のとおり、子どもを養育する第一義的責任を有する保護者や養育者は、子どもにとって最も身近な存在であることから、保護者や養育者との安定した愛着形成は子どもの情緒の安定や自己肯定感、さらには将来的な社会性の発達に大きく寄与するものと考えております。
そのため、保護者、養育者自身の身体的・精神的・社会的に幸福である状態、いわゆるウェルビーイングを高めていくことが、子どものウェルビーイングを高めていく上でも欠かせない要素であると認識しております。特に幼児期までは、子どもにとって生涯にわたる人格形成の基礎が培われる重要な時期であると同時に、保護者・養育者自身にとっても子育ての始まりの時期であることから、出産前後の綿密なケアを含め、子どもとともに育ち、成長していくことができる支援をきめ細かく行っていくことが重要でございます。

本市では、例えば、産後ケア事業の充実により、保護者の心身の負担軽減とともに、親子の愛着形成の支援にも力を入れております。また、保健師や助産師による赤ちゃん教室の実施のほか、乳児家庭全戸訪問の際に赤ちゃんに絵本をプレゼントし、親子で絵本を通じたふれあいの時間を楽しんで頂く、ブックスタート事業などを実施しており、母子保健やこども家庭福祉の観点から、保護者・養育者のウェルビーイングと子どもの成長を支援しております。

一方で、保護者・養育者との愛着形成を最大限尊重しながらも、その負担が過度にならないよう地域や社会が支えていくことも大変重要でございます。

共働き世帯の増加や地域のつながりの希薄化など、社会環境の変化によって、子どもや子育てを取り巻く環境が大きく変わる中で、保護者、養育者が子育てを自分だけで抱え込まず、必要な親子関係の構築や、主体的で心に余裕をもった子育てを継続的にできることが肝要でございます。
しかしながら、保護者・養育者の置かれた環境や、心身の状況は多様であるため、少しでも多くの保護者・養育者との接点をつくり出し、支援を切れ目なく、身近なものにしてくことが必要であると考えております。

そのため本市では、こども誰でも通園制度をはじめとした、乳幼児期の保育・教育環境の充実やおやこDE広場等の地域子育て支援拠点とつながりをつくる、マイ・サポート・スペースなどの取組みを進めているところでございます。
また、子どもと愛着を形成することができる人は、必ずしも保護者・養育者に限らず、子どもと密に接する保育者等も含まれることから、様々な手段を通じて保育の質向上の取組みを進めております。
今後も保護者、養育者と子どもとの愛着形成を尊重しつつ、社会全体で子育てを支える仕組みを強化し、家庭と社会とが相互に補完し合う環境づくりを推進してまいります。

しぎはらまいからの意見・要望

子ども部長、ご答弁ありがとうございました。

子ども部長より、「第一義的責任を有する保護者や養育者は、子どもにとって最も身近な存在である」「保護者、養育者と子どもとの愛着形成を尊重しつつ、社会全体で子育てを支える仕組みを強化し、家庭と社会とが相互に補完し合う環境づくりを推進してまいります。」というご答弁を戴きました。

社会構造が多様化するなか、どれほど支援の仕組みが整えられたとしても、小さな子どもが「自分は愛されている」「自分には価値がある」と実感できる無条件の愛を渡せるのは、やはり親や特定の養育者であり、それを超える関係はありません。

この答弁を通じて、子どもに対して最も基本的で根本的な責任を負うのは親や保護者であるという認識を改めて共有でき、その上で、親がその第一義的責任を果たしやすいように、社会全体で支える仕組みを強化し、子育て支援政策を手厚くしていることも確認できました。 今後も家庭と社会が相互に補完し合い、安心して子育てができる環境づくりを、引き続き推進していただくよう、お願い申し上げます。