令和7年6月定例会
質問の要旨 自治事務の役割と助成の基準について
現在、日本では、予防接種法に基づいて市区町村が実施主体となり、地方自治法上の「自治事務」として位置づけられている【定期予防接種】と、「法定受託事務」として国の関与のもと実施される臨時の予防接種があります。
今回、「自治事務」として位置づけられている【定期予防接種】について質問します。
定期予防接種は、厚生労働省の通知や審議会の議事録等にも示されている通り、国の直接的な指示を受けず、地方自治体が主体的に実施・運営していく事務であり、実施内容や費用負担のあり方についても自治体の裁量が認められているものです。
現在、自治事務としての予防接種は、A類疾病の14種類とB類疾病の4種類の合計18種類となっています。
特に、後者のB類は 接種勧奨も 努力義務もなく、自治体側からの呼びかけも行いません
そこでお伺いします。
本市において、定期予防接種に係る助成の基準はどのように定められているのでしょうか。
また、自治事務としての位置づけを踏まえ、市の裁量によって今後助成の内容を見直すことも可能と考えますが、そうした検討は行われているのか、併せてご見解をお聞かせください。
答弁:健康医療部長
予防接種法に基づく定期予防接種は、地方自治法上の自治事務として定められており、対象疾病、接種対象者、使用ワクチン、接種回数、接種方法等については、国が決定しているところです。
市町村長の役割といたしましては、定期予防接種の実施主体として、予防接種の運営、接種対象者への予防接種の効果・接種場所・接種の受け方・接種の際の注意事項などの情報提供、医療機関との連絡・調整、財源確保などがございます。
次に助成の基準について、でございますが、定期予防接種には、疾病の発生及びまん延防止に比重を置き、市町村長が接種勧奨を行い、対象者に努力義務が課せられているA類と、主にハイリスク者の個人予防の観点から接種勧奨がなく、努力義務が課せられていないB類に区分されております。
A類につきましては、高い接種率を確保することが重要であり、特に感染力が強く、重症化することもある麻しんなどは、特効薬がないため、ワクチン接種による予防が最も有効で、まん延防止につながっております。
国は麻しんに関する特定感染症予防指針において接種率目標を95%以上と定められておりますことから、接種費用を公費負担で実施することで、接種しやすい環境を整え、接種率向上を図るものでございます。
また、B類につきましては、個人の予防に重点を置いた疾病で、接種勧奨・努力義務が課せられておりませんので、予防接種法第28条に基づき、受けた方に接種費用の一部を負担していただいているところでございます。
なお、B類の助成の基準については、特に定められておりませんが、予防接種法に疾病及びその対象者の位置づけが変更された段階で検討し、継続的に見直しを行っております。今後も引き続き、国の動向を注視しつつ、近隣市の状況も踏まえ見直してまいります。
しぎはらまいからの意見・要望
定期予防接種が自治事務として位置づけられている中で、国の動向や近隣市の状況を注視しながら、助成内容の見直しを行っているとのご説明をいただきました。
予防接種法第28条では「予防接種を受けた者又はその保護者から、政令の定めるところにより、実費を徴収することができる。」とあります。
定期接種の中でも接種勧奨や努力義務が課されていないB類疾病における接種費用の助成は、まさに自治体の裁量で判断できる部分であり、国の動向に盲目的に従うのではなく、市としての意思と方針を明確に打ち出すことが可能な領域です。
実費の全額を自己負担とする判断も、法の趣旨に反するものではありません。
昨今行われている定期予防接種の中には、これまでに例のない規模で健康被害が報告されているものも含まれております。
そうした実情に鑑みれば、国や近隣市の方針を参考としつつも、松戸市独自の視点と判断に基づく助成基準を設け、より臨機応変で市民の不安に寄り添った予防接種行政を展開していくことが、今まさに求められているのではないでしょうか。
これまで松戸市は、職員の皆さんの高い能力とスキルにより、他自治体に先駆けて予防接種体制を整えてこられました。本当に頼もしく、誇れる実績だと思っています。
そしてその根底には、市長の判断に対して、職員の皆さんが真摯に応え、動いてこられた信頼の積み重ねがあるのだと感じております。
市長は、国や県の方針を踏まえながらも 市民の実情に合わせた 勇気ある決断や方針を打ち出す立場にあると私は考えます。
だからこそ、市民の命と健康を守るという原点に立ち返り、接種の目的やリスクを見極めながら、ワクチンごとに適切な助成のあり方を、首長の責任において主体的にご判断いただきたいと強く要望します。